PRODUCTION NOTE
-MONOPHONIC-ENSEMBLE- 制作ノート
THE PRODUCTION NOTE OF -MONOPHONIC-ENSEMBLE-
2年程前に、ふと古いdelayというエフェクターだけで1曲つくってみようと思い、できた曲があった。古い機材なのでモノラル(1本だけの接続、左右全く同じ音)なのだが、なぜか新鮮な音響っぽい作品になった。
5.1chの新作CDも発売される時代だ。サラウンドミックスなどの新しい音響テクノロジーはライブ盤などには有効的に使えるし面白い技術だとは思うけど、それ自体が心に響くパワーを持つ音楽の中心的要素にはならないし、それを使ったところで「いいメロディ」や「いいコード進行」(つまり、いい曲)なんてできない...と思っていた僕は、真逆の(懐古的な意味ではなく)「モノラル」で今っぽいアルバムを1枚つくるアイディアを思い付いた。ちょっとしたアンチテーゼとして。
左右全く同じ音が鳴るモノラルという制約は、音楽的な弱点をミックスに逃がすことを許さず、音をむき出しにさせる。敢えてモノラルで構成されつつ音楽自体のパワーが感じられるアルバムをつくろう!音楽に本当に必要なものを炙り出すいい機会だ。男ならモノラルだ(笑)。
が、もしかしてこの題材で色んな人と共作すると面白いかも、いや完全にそのコンセプトでお任せしてもいいなあ...そうだ、コンピレーションにしよう!と思い立った。
選曲ではなく、「モノラル」というコンセプトで色んなアーティストにオリジナル曲をつくってもらうのだから、さらにオリジナルでしかできない案として、全参加アーティストから提供曲の素材をもらってそれらを使った1曲(全参加アーティストによる架空ユニット曲=ラスト15曲目「ONE EAR ENOUGH」として完成)をつくる案も浮かんだ。
2ndアルバム「ELECTRO_BITS_INDEED」を発売したところで、3rdアルバム「WITH ROBO*BRAZILEIRA」も進行中だったけど、それ以来その企画はずっと、脈々と進められてきた。
当然ながら、ジャンルを指定するコンセプトではない。尊敬する周りのアーティストに声をかけることはもちろん、面識がなくてもスタンスが開かれていていいと思うアーティストに(アートワークの下田さんもそうだった)、ホームページのContactからメールを出すところから始めて、企画を話し人間関係を築いてから制作してもらった。いい作品が集まらないはずはなかった...。
左右への、さらには5.1chへのパンニング(音の振り分け)というのは、きく人の想像を限定していく方向のものだと思う。よりきく側に自由度がある音楽として、今敢えてモノラルという提案をしたい。想像力を使って大人になろう!
2006.4 安田 寿之