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Jarhead

2006.02.28 (Tuesday)


2つの理由で、特別な思いでこの映画を観に行った。

まず、「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス監督ということ。
どの登場人物にもどこか自分を投影できる部分がある、丁寧に練られたこの作品は、スコセッシの「タクシー・ドライバー」のように自分の中でバイブルのようになっている。
ふやけたパイみたいなケビン・スペイシーが最後の一瞬で見せる瑞々しい笑顔、コンビニの袋が風に飛ばされているだけの映画中の映画、「世界は美しいもので満ちている」という青い台詞、気持ちと関係なく着実に進行していってしまうような音楽...。

次に、自分と同じ年の人物が体験する戦争映画だということ。
「フルメタル・ジャケット」も「ディア・ハンター」も「地獄の黙示録」も自分の人生とは接することのなかったベトナム戦争が題材たが、これはリアルに報道を見ていた湾岸戦争の話だ。
湾岸戦争が起こった日のことを、はっきり憶えている。僕は高校3年で、同級生の青江が何かの理由で遅刻してきた。彼は遅刻したことをそっちのけで、興奮しながら教室に入ってきて、何度も大きな声でこう口走った。「戦争が始まった」。自分が責任を持ってそのニュースを人に伝える役目を負ったかのように、彼は非日常を微積の授業に持ち込んだ。
「あの」僕が油まみれになってライフルを構えていたのかもしれない、なら「この」僕はどうなっているのか、そう考えると今まで観た戦争映画とは全く違う感覚になった。

実際の映画は、そんな思いとは食い違い、少し残念な結果だった。

「見られたくない姿をはっきり見せる」という「アメリカン・ビューティー」から一貫されている題材は健在だ。貧弱さ、手段と目的の逆転、マスターベーション、勘違い...。

ニュースや衛星画像でしか知ることのなかったハイテク戦争の「イメージ」が、実際の地上ではどういう状況だったかもよくわかる内容になっていた。

しかし、少し欲張りすぎた構成のような気がした。
志願して、訓練があり、戦地に赴き、キャンプを張り、移動し、戦闘に入る。後半に行く程、加速していく感じはあるが、その過程がまんべんなく入りすぎていて、ピークが感じにくくなっている。もっと乱暴に、一部だけ強調した構成にしてもよかった。キューブリックが訓練の行程を強調したように。

また、異常な心理が異常な状況にあっても、対比が少ない分印象が薄くなっている。戦争という題材であるなら、音楽も状況を説明する台詞もざっくり無駄を省き淡々としている方が強調されることは多い。ラスト近くの、夜の空に姿は見えない超ハイスピードな戦闘機の音だけが頭の上を駆け抜けるシーンなどは、台詞もなしにもっと延々使えば、憔悴感による恐怖を強く出せる場面で、勿体ない。後に行く程いつの間にかドキュメンタリーのように感じさせる位シンプルになってくれば、よりメンデスらしい作品になったのでは。
★★★☆☆

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