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あまり楽しそうでない50年後の未来

2007.08.03 (Friday)


50年後の未来
大学、研究所、NASA、自動車・医療会社等が監修/ドイツ制作の、医療・都市・エネルギーに関するドラマ仕立てのドキュメンタリー。
体や服や部屋や移動媒体に埋め込まれたマイクロチップが常に監視し、異変を関知すれば最大の効率でプログラムされた最善策を講じる。それは個人レベルではなく、それを集積した都市機能も同様...という内容。

企業の広告番組みたいだ。あまり楽しくなさそうな、「失敗した」不気味な未来が描かれている。
プレビューを見る限り、他者によるオンライン監視に依存する脆さ、それが一番の印象だ。日常的に自分の頭で考え(時には勘に頼り)自分の足で行動することは、それだけで完結することではなく、例えば情操・文化的な側面に回り回って大きく影響することだ。そういうことは全く無視された、稚拙な内容ぽい。

今はやっぱり時代の境目で、ヴァーチャルなものはヴァーチャルに、リアルなものはリアルに、まだ収まっている感はある。リアルなものまでヴァーチャルに取り込まれる社会というのは、本当にまずい。寝ていても車が運転できる?自分で気付かない体調変化に警告が?そういうfakeな安心感はenormousな被害を引き起こすし、気持ち悪い以上に創造性を司る人間の基本OSのような部分に弊害をもたらしそうだ。

尤も、医療という分野はこういう先駆けとして最も施行しやすいだろう。便利ということより人命を尊ぶということで、アピールしやすい。5年後には埋め込みチップとはいかなくてもアクセサリーのようなセンサーを身に付け、何か異変があればセンサーと無線接続されたiPhoneとメディカル情報をリンクさせた医療機関が即対応する、というシステムでもできるのでは。

娘「お父さん、病院に行って下さい!」
父「わしゃ医者を信用せん!」
みたいな会話はもうない。

でも、お父さんのような選択権も必要なはずだ。血液を冷却食塩水に入れ換えられ、意識もない仮死状態にさせられることが最善と思えない局面や事情だってありそうだ。

メディアが煽るダイエット。本来、狩りや農作等不安定な食糧事情に対応してきたため、エネルギーを温存できるよう人間の体は痩せるよりは太りやすくできているそうだ。好きな時に好きな物を食べられる状態だと、それは太る。「おいしいハイテク食品のおかげで、スリムな体形を維持」というのも、夢のような嘘だ。狩りをする訳にはいかないので、適度に運動してストレスを溜めないことじゃないかな。

大事なことは、個人でも社会でもある能力を得るということは真逆の能力を同じだけ持つことに他ならないということだ。つまり延命させるシステムには、そのコントロール下では殺傷能力も潜在的に同じだけ存在する。

前から常々思うこと。面倒を避けて効率的にするために捨てた部分にこそ、本当の新しさがある。だから、システムをつくる側は、コンテンツの価値を真に理解できる造詣と経験と視野が求められなくてはいけない。IT業界者よ、いっぱい映画や音楽やアートに触れてくれ。人が人の気持ちをわかって行動することは、面倒くさいけどとてもクールなことだよ。

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