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すべりこみボルベール(今年最高作)
2007.08.19 (Sunday)
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24日までとのことで、やっと観た。おそらく今年の最高作だ。
スペインの田舎町ラ・マンチャに広がる死の香り。死者を特別なものに捉えず、いつも近くに居る存在として暮らす人々。その中でも特に、親近相姦と殺人の呪いに囚われた家系。
書くとこんな暗いことはないが、ありえない位の生き生きとした明るさが、監禁犯罪なのにあっけんからんとした「アタメ」を彷彿とさせる。
アルモドバル作品では今までで最も淡々とした印象だった。どえらい展開になっていようが、信念や生活がごく自然に描かれている。理由は、舞台が監督自身の故郷であり、全てのディレクションが体験に基づいているからだろう。ストーリーを上回る空気感。
しかし、地域性はテーマではないし、故郷への偏狭愛は全くない。とてもユニバーサルである。
旅先で人と個人的に話すと思うが、別に地域性なんてない。みんな怒っているより笑っている方がいいし、親切にしたい。でも陰では不安になって悪口を言う。そんな、人が人へ自然に持つ感情に目が向けられている。
印象的なシーンはたくさんあるが、ペネロペが歌うシーンが最高だ。本格的に歌う直前に鼻歌を歌うが、いわゆる「歌える人の鼻歌」になっていて驚いた。タンゴだが、オペレッタだと直感した。余韻を残したエンディングもいい。
浸食しつつある「来たるべき波」への抵抗。それが、ペネロペのウルウルした瞳からこぼれ落ちて、僕の胸に溜まった。
