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落雷とハリー
2008.06.30 (Monday)
雷が鳴ると、ハリーを思い出す。
ハリーとは、小学生の頃から飼っていた犬だ。
彼は落雷音に対して異常に恐怖心を抱いていて、近くでバリッ、メキッと鳴り出すと、パニックになってしまうのだった。
家に誰かが居ると、側から離れなかった。
家族全員が留守にしていたある夏、ひどい落雷の中帰宅すると、漫画のようなハリーが居た。
家の裏の納屋の20cm位の隙間に頭だけを突っ込んで、雷が鳴る度にお尻をブルブル震わせていたのだ。
しばらく笑いを堪えて眺めていたが、大丈夫だよ!と背中に触れると、やけくそになって飛びついてきた。
大学4回生の前から社会人の初夏まで1年半位実家を離れていて、戻った翌朝ハリーは死んだ。
よく玄関の外で寝ていて、扉を開けるとドンとぶつかって驚いて立ち上がるのだが、その朝の扉はどこまで押しても重たいままですぐに死んだと悟った。その感触は、手の中に残り続けた。
ずっと僕が帰るのを待っていてくれたんだろうか、そう思うと胸が掻きむしられるようだったが、同時に、自分の手で彼を送り出してあげることができたような気がして、心が安らかになった。
いまだに、霹靂の音と磁場の中に震えるフサフサしたお尻を思い出し、一人ひそかにニンマリしてしまう。
恐怖というのは生きている証拠であり、愛おしさに繋がっているのである。
