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AUTUMN SESSION...発売

08.09.06 (Saturday)

2003年から親交のあったPecomboに大いに参加していただいた僕の3rdソロアルバム「WITH ROBO*BRAZILEIRA」は、2005年にリリースされた。その1年、アルバムプロモーションで全国のApple Storeで8回のライブを行った。(それだけの頻度でApple Storeでライブを行ったアーティストは居るんだろうか?有り難いことに、全て発売前から興味を持ってくれたApple社からの依頼であった。)その最後、8回目のライブは、Apple Store渋谷店で2005.11.20に僕とPecombo共同名義で出演した。そして、それがこのアルバムをつくるきっかけになった。

既に互いの作品に参加し合い共作もしていたのでライブで一緒にやれる曲は十分にあったが、オリジナルヴァージョンでそのままやることで満足する僕とPecomboのリーダーHacchan'ではない。「全曲楽器構成を固めて、ライブ用にリアレンジしよう」ということになった。

歌は、Pecombo5人と僕の「ブラジル音楽を歌う架空ロボット」ROBO*BRAZILEIRA。僕ら2組の特徴や曲をよく理解して下さっているプロフェッショナルな演奏家、ギタリスト助川太郎さんとアコーディオニスト田ノ岡三郎さんもすぐに決まった。またその頃僕は、よくきいていた細野晴臣氏の手掛けたサウンドトラック「メゾン・ド・ヒミコ」の生音の録り方や配置の仕方を自分の作品に踏襲できないかを考えていた。具体的には、生楽器の音自体と同じ位、鳴っている空間の存在感が大切にされた音作りとそれ以外の音のコントラスト、である。

それを気兼ねなく実験する意味もあって、自分のピアノを共同プロデューサーであるHacchan’と試行錯誤しながら録音し始めた。(結果、生録りは、広い部屋で音源から距離を離してモノラルマイク2本とステレオマイク1本を使って行った。)最後にリズム隊は、ドラムはエレクトロ・ヒップホップなどでいまだに支持を得るローランド製80年代リズムマシン名機TR-606、ベースは正弦曲線で表される元祖電子音とも言えるSine波に、「メンバー」になってもらった。

その固定メンバーと録音方法でお互いのベスト曲を、僕もHacchan'も大好きなSylvia Telles & Lucio Alves & Roberto Menescalの「Bossasession」のようなリラックスした雰囲気で吹き込む。その強固なコンセプトがまず設定された時点で、もう素晴らしい音がきこえ始めていた。

結局Apple Store渋谷店でのライブ自体は様々な条件で歌以外生で演奏することはできなかったが、それ用にレコーディングしたトラックはアルバムとしてまとめるに値すると思った。

それから、僕は初のプロデュースコンピ「-MONOPHONIC-ENSEMBLE-」を、Pecomboは「tempo feliz」「Serendipity」2枚のオリジナルアルバムをリリースし、相応な時間とプロセスを経ながらもこのプロジェクトは進行した。

楽しさ/面倒、時間/空間、偶然/必然、納得/疑問、選択/既存、奔放/システム、雨/晴、必要悪/偽善、加熱/冷却...。いかなる時も同じだが、今回も数え切れないバランスの上にやっと3分なり4分なりの何でもない空気振動がつくられていった。そして、自分たちが決めたコンセプトの強固さに、ずっと助けてもらうことにもなった。2006年秋には、Radio Freedomの高橋雅人さんがオーガナイズするEarth Gardenに出演させていただき、プロダクションを洗練させることもできた。制作途中PecomboメンバーではなくなったFumieちゃんも、最後まで一緒に完成させてくれた。何となく別れた夫婦が子供が居るせいで顔を合わすような感覚もあり、完成してしまうのが少し寂しい気がしたものだ。分断しながら2年半、2008年の春にようやく全ての音源は生み落とされた。

長く時間がかかり様々な可能性を考えられたお陰で、アートワークは福田透さん、マスタリングはサイデラの森崎雅人さん(両名とも「WITH ROBO*BRAZILEIRA」で素晴らしい仕事をしていただいた)に頼もうと決めていた。

また、デザインと身体パフォーマンスを同列に扱う希有なアーティスト升田学君にデザインを、高い芸術性のお仕事をされているアサヒ精版社に印刷を頼むことも決めた。時代錯誤と言われようがとにかく直接会いに出向き、関わっていただく方々と直に共同作業できることをセッションとして含ませたいと思った。当然時間がかかることもあったが、執拗な僕に応えて下さり見事な結実が得られた。

すぐに手をすり抜けてほろりとこぼれ落ちてしまう、短く美しい秋のキラキラした日差し。そんな空気感をこの古き良き総合音楽パッケージ(Compact Disc)に満たすことができた、と思っている。
(音楽家)

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